田中史子のつぶやきコラム

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2017.12.22

競馬・宝くじで得た利益と財産分与

婚姻期間中、夫婦それぞれが働いて得たお金で取得した資産(不動産等)は、財産分与の対象になります。では、夫(もしくは妻)が競馬や宝くじで得た利益で取得した資産は、財産分与の対象になるのでしょうか。それとも、夫(もしくは妻)の特有財産として、財産分与の対象にならないのでしょうか。

この点、夫(もしくは妻)が、小遣いで馬券を購入し、万馬券があたった場合、それは個人の運によるものであるから、財産分与の対象にはならないとも考えられます。しかし、夫が競馬の万馬券で得た利益で購入したマンションについて、妻に売却代金の3分の1を分与した裁判例があります(奈良家庭裁判所平成13年7月24日審判)。

本件マンションを夫の特有財産と見ることのできない理由としては、①万馬券は夫婦の婚姻中に購入されたものであること、②マンションはもともと夫婦及び家族の居住用財産として購入され、現に12年もの間夫婦の生活の本拠として使用されてきたものであること、③万馬券というのは射幸性の高い財産で必ずしも夫の固有の才覚だけで取得されたものともいえないこと、④万馬券が夫の小遣いで購入されたものであるとしても、小遣いは生活費の一部として家計に含まれると考えることができること、が挙げられています。しかし、万馬券という射幸性の高い臨時の収入については、相手方の運によるところが大きいこと、妻の生活扶助的な要素を考慮すべきこと、その他の事情を総合して、3分の1を妻に財産分与として給付すべきとしました。

宝くじについては、東京高等裁判所平成29年3月2日の決定があります。この決定も、①宝くじの購入資金は、婚姻後に得られた収入の一部である小遣いから支出していること、②宝くじ当選金の使途も、家族が自宅として使用していた土地建物の借入金の返済にあてていたこと、等を理由に、宝くじ当選金で取得した自宅不動産を夫婦の共有財産と認めています。

その上で、夫が宝くじの購入を続け、これにより偶々とはいえ当選して当選金を取得し、自宅不動産を取得したということからすれば、夫の方が資産取得に貢献しているということで、夫6対妻4の割合で財産分与を認めました。

ご紹介した事例からは、競馬や宝くじで得た利益で取得した不動産も、夫婦共有財産として財産分与の対象となる可能性が高いが、具体的にどのような割合で分けるのかは、個別の事情を検討して決定されていると言えます。夫(もしくは妻)が、自分の小遣いからこつこつと貯めたお金で、宝くじ等をあてたのに、離婚の際には分けなければならないというのは、なんとなくおかしいのではないか、と感じますね。ただ、ご紹介した事例は、問題となっている不動産が自宅であったり、そのほかに財産分与の対象となる財産がない、という場合なので、一切財産分与の対象にならないとしてしまうと、かえって不合理な結果になるとも考えられます。そこで、裁判所は、財産分与の対象になるとした上で、2分の1ずつではなく、夫(もしくは妻)の取得分を多くすることで、調整を図ったものと考えられます。しかし、裁判所が個別の事情を細かく検討していることからすれば、すべての事例において財産分与の対象になるということではなく、事情によっては、財産分与の対象にならない場合もあるといえるのではないでしょうかね。