田中史子の
つぶやきコラム
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2018.1.6
きょうだい不分離の基準について
親権者の指定等においては、「きょうだい不分離の基準」というものがあります。
例えば長男、長女の2人きょうだいの場合、長男は父親が親権者となり、長女は母親が親権者となる、というように、きょうだいを別々にするのは相当ではない、という考え方です。
これは、きょうだいが共に生活することによって得られる体験が人格形成上重要であるということと、両親の離婚に伴って、きょうだいとも別れることになると、子どもが二重の心理的負担を強いられるということが理由になっています。
ただし、きょうだい不分離の基準は、親権者を決定する際の他の基準(継続性の基準や、子の意思尊重の基準等)と比べると、重要な要素ではなく、場合によっては、きょうだいを分離して監護する方が、子どもの利益になる場合があります。
例えば、長男を父、長女を母が監護しているという状態がすでに相当期間継続している場合や、長男が父と生活することを望み、長女が母と生活することを望んでいるような場合です。
ただ、様々な事情を考慮した上で、きょうだいを分離し、父親と母親で別々に監護することになった場合であっても、それまでのきょうだい間での交流が継続できるように、父親と母親が協力していくことが不可欠であるといえます。
その意味でも、継続的な面会交流は、親と子どもの間だけでなく、きょうだい同士の間においても、非常に重要なものだと思います。
なお、父親が、前妻との間の子ども2人と、別居中の妻との間の子ども2人(A、B)と居住しており、別居中の妻は、頻繁に子ども達(A、B)の夕食を作りに行く等している状況において、別居中の妻が子ども2人(A、B)についての監護者指定を求めた事案があります(大阪家庭裁判所平成26年8月15日審判)。
この事案において、別居中の妻からの監護者指定の申立が認められた場合、4人のきょうだいは、父親のところに2人、母親のところに2人と、別れて暮らすことになります。しかし、審判では、現在、父親と母親がほぼ同じ程度に子ども達(A、B)の養育監護をしていて、共同監護のような状態であると認定した上で、子ども達がきょうだい4人で一緒に生活することを希望していることと、共同監護のような現状から、別居中の妻からの監護者指定の申立を認めませんでした。