田中史子の
つぶやきコラム
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2018.1.4
親権者決定における子の意思把握の方法
昨日のコラムで、「子どもが言葉で、親権者についての自分の意見を表明できる年齢については、おおむね10歳(小学校4、5年生)以上であれば問題ないとされています。」と記載しました。ただ、10歳以下の子どもであっても、子どもの意思を把握することが重要であることはもちろんです。
そこで、年少の子どもの意思を、どのように把握すべきかについて、書いてみたいと思います。
家事事件手続法65条では、親権等に関する審判の手続きにおいては、「子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。」と規定されています。
すなわち、子どもの意思の把握においては、「子の年齢及び発達の程度」に応じた方法を採ることが重要です。
この点、大阪家庭裁判所の調査官の方々による「離婚調停事件における子の調査の在り方について―「子の意思」の把握・考慮の規定を踏まえて―」(家庭裁判所月報第64巻第11号)において、子どもの年齢による意思の把握方法について記載されています。
ここでは、4歳(幼稚園の年中組)未満の子どもについては、自分から見知らぬ人とコミュニケーションを取ったり、言葉を流ちょうに話したりすることは難しいため、子どもの意思を子どもの言葉から把握することは難しいとされています。
その上で、客観的に把握される子どもの状況や、挙動等を踏まえて、子どもの意思の把握に努めることになるとされています。
また、4歳前後になって、自分の欲求や願望をある程度、言葉で表すことができるようになってきても、言葉を聴取するだけではなく、置かれている状況に対して示される認識や挙動等に表れる表現に着目するとともに、そうした表現をする背景や経緯も把握し、総合的に評価する必要があるとされています。
子どもが幼少で、まだ自分の意見を言葉で述べることが出来なかったり、言葉による表現が不十分だからと言って、子どもの意思がどこにあるのかということを把握しなくてもよい、ということにはならないのです。このことは、幼少の子どもの親権を考える上で、非常に重要だと思います。