田中史子のつぶやきコラム

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つぶやきコラム

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2017.12.30

親権者の適格性における母性とは?

家庭裁判所において、親権者の適格性を判断する基準の一つに「母性優先の基準」があります。

母性優先とは、乳幼児については、特段の事情がない限り、母の監護養育に委ねることが子の福祉に合致すると言う考え方です。子どもがまだ小さいうちは、スキンシップも含めて、母親の受容的で細やかな愛情が必要であるとされています。

しかし、子どもに対し、受容的で細やかな愛情があるのが母親だけであるとは限りません。夫婦によっては、父親が子どもに対し母性的な役割を果たしていることもあります。

この点、「子が幼児であって父母が離婚後自己が親権者になることを望んで譲らない場合、母が監護養育するのを不適当とする特段の事情のないかぎり、母を親権者と定め、監護養育させることが子の福祉に適合するものと考えられる。なぜならば、子の幼児期における生育には、母の愛情と監護が、父のそれにもまして不可欠であるからである。」とした審判があります(静岡家庭裁判所沼津支部昭和40年10月7日審判)。

また、子どもが6歳と5歳の事例において、「未だ幼い同人らにとって、母親のスキンシップによる養育が父親のそれにも増して重要な時期にある」としている判決(東京高等裁判所昭和53年11月2日判決)もあります。

しかし、上記の東京高裁の判決は、すでに母親が子ども達を引き取って生活している状況が3年以上継続しているという事案であり、母親が子の監護に専従できる状況や、保母の有資格者であること等から、教育の点で父より優れていると判断されており、「母」であるということだけで、「父」よりも親権者の適格性があるとされたものではありません。

最近では、子の監護養育における父母の役割は変化しており、必ずしも、父親は外で仕事をして、母親が家で子育てをする、ということではなくなってきています。主として、父親が子育てをしているという家庭もあります。

そのため、親権者の適格性を判断するにあたっては、生物学上の「母」かどうか、ということではなく、実際に、子どもにとって、母性的な役割を持つ監護者(主たる監護者)はどちらか、という観点から、考えられるようになってきています。

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