田中史子の
つぶやきコラム
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2017.12.30
親権者の適格性
親権者の決定は、子の利益及び子の福祉を基準としてなされなければなりません。ここで子の利益及び子の福祉というのは、父母のどちらが親権者になれば、子どもが健全に成長できるか、ということです。これを「親権者の適格性」と言います。
民法766条1項においても、「父母が競技場の離婚をするときは、子の監護をすべき者・・・・その他子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」とされています。
では、父母の双方が子どもの親権を主張して譲らず、協議がまとまらない場合にはどうしたらよいでしょうか。
この場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、そこで親権について協議することになります。調停においても協議がまとまらない場合には、審判もしくは離婚の裁判で、裁判官が親権者を定めることになります。
親権について争いのある事件については、調停段階から家庭裁判所調査官が調停に同席して事情を聞くことも多く、裁判官からの指示により、調査官が子どもの意向を聞いたり、家庭訪問等の調査をすることがあります。
親権者の適格性を裁判官が判断する場合には、父母側の事情と子どもの側の事情を考慮します。
父母側の事情としては、父母の年齢、性格、健康状態、監護意欲、これまでの監護養育状況、子に対する愛情の程度、生活状況(職業、資産や収入等の経済的状況、生活態度等)、居住環境、教育環境、親族の経済面を含めた監護に対する支援態勢等があります。
子どもの側の事情としては、子の年齢、性別、心身の発育状況、現在の生活環境等への適応状況、生活環境等の変化への適応性、きょうだい関係、子の意思、子と父母及び親族との情緒的結びつき等があります。
上記のような要素を総合的に考慮し、親権者が決定されることになります。ただ、前述のとおり、子どもの利益を最も優先して考えるべきであり、子どもの心身への悪影響があるような場合でない以上、父母のどちらが親権者と指定されても、親権者にならなかった方の親と子どもとの交流が十分に行われるように配慮することが重要だと考えます。