田中史子の
つぶやきコラム
田中史子が日々の弁護士業務に
おいて感じていること、
考えていることについて
お伝えさせていただきます。
※当事務所は、当ウェブサイトの内容の正確性・妥当性等につきましては細心の注意を払っておりますが、その保証をするものではありません。 また、当ウェブサイトの各情報は、掲載時点においての情報であり、その最新性を保証するものではありません。
※当事務所は、当ウェブサイトの内容の正確性・妥当性等につきましては細心の注意を払っておりますが、その保証をするものではありません。 また、当ウェブサイトの各情報は、掲載時点においての情報であり、その最新性を保証するものではありません。
TOP > 田中史子のつぶやきコラム > 離婚時年金分割について
2024.10.1
離婚時年金分割について
離婚時の年金分割には、「3号分割」と「合意分割」の2種類があります。
「3号分割」は、2008(平成20)年4月1日以降で、相手の被扶養者となっていた期間(専業主婦等)について、相手との合意なく行うことができます。
それ以外の場合には、「合意分割」すなわち、相手の合意を得て行う必要があり、合意が得られない場合には、家庭裁判所での調停・審判を行うことになります。
この点、元妻からの年金分割の請求に対し、元妻が自宅に大量の荷物を運びこんで散乱させ、元夫が片付けることも妨害し、元夫は、精神的に著しい苦痛、ストレス状態に長期間置かれたとして、年金分割を認めなかった審判があります(千葉家庭裁判所令和4年4月22日審判)。
しかし、この審判は、高裁で取り消され、0.5の年金分割が認められました(東京高等裁判所令和4年10月20日決定)。
上記の東京高裁決定においては、「婚姻期間中の保険料の納付は、互いの協力により、それぞれの老後等のための所得保障を同等に形成していくという意味合いを有しているものと評価することができる。」「対象期間における保険料の納付に対する夫婦の寄与の程度は、特段の事情がない限り、互いに同等と見るのが離婚時年金分割制度の趣旨に合致する」とし、本件では、「特段の事情があるとまでいうことはできない」としました。
年金分割においては、老齢厚生年金の社会保障的意義が重視されており、よほどの特段の事情がなければ、審判では0.5の年金分割が認められるものと思われます。