田中史子の
つぶやきコラム
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2022.10.27
両親からの口座入金と財産分与
結婚後、夫(または妻)の両親から、夫(または妻)への個人的な贈与として口座入金された預金は、特有財産として、財産分与の対象にはなりません。
では、個人的な贈与ではなく、夫婦への生活支援として両親から口座入金された預金があった場合は、どのように考えればよいでしょうか。
この点、夫Aの父が、Aの妻B名義の預金口座にBの役員報酬等の名目でお金を入金し、通帳と届出印も父が管理していた、という事例で、この預金口座のお金も財産分与の対象とされた事例があります(東京高等裁判所令和3年12月24日)。
夫Aの父は、会社を経営しており、妻Bはその会社の取締役として登記されていて、実際に従業員として働いていたことはありましたが、取締役として稼働していたかどうかについては争いがありました。
また、Aの父は、Aを事業の後継者にしたいと考えていた、という事情があります。
Aは、父がB名義の口座に役員報酬等の名目で入金していたお金約1800万円について、父母の特有財産であって、財産分与の対象ではないと主張していました。
しかし、裁判所は、Bの預金口座に、Bの取締役としての稼働実態がないのに支払われた部分が含まれていたとしても、父が夫婦の生活支援として振り込みを行っていたとして、本件口座の預金を財産分与の対象としました。
もっとも、「そこに振り込まれた預金の中には、夫婦の協力によって形成されたとは認めがたい預金部分があるといわざるを得ない」として、最終的な財産分与の額を決める際に、Aの両親からの他の援助も含め、「一切の事情」として考慮しています。