田中史子の
つぶやきコラム
田中史子が日々の弁護士業務に
おいて感じていること、
考えていることについて
お伝えさせていただきます。
※当事務所は、当ウェブサイトの内容の正確性・妥当性等につきましては細心の注意を払っておりますが、その保証をするものではありません。 また、当ウェブサイトの各情報は、掲載時点においての情報であり、その最新性を保証するものではありません。
※当事務所は、当ウェブサイトの内容の正確性・妥当性等につきましては細心の注意を払っておりますが、その保証をするものではありません。 また、当ウェブサイトの各情報は、掲載時点においての情報であり、その最新性を保証するものではありません。
TOP > 田中史子のつぶやきコラム > 清算的財産分与について
2021.1.15
清算的財産分与について
離婚における清算的財産分与とは、婚姻中に夫婦の協力で形成した財産の精算を行うものです。
財産分与には、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与もありますが、この清算的財産分与が財産分与の中心となります。
清算割合は、夫婦の収入額にかかわらず、2分の1とするのが原則です。
夫が会社員として給料を得ており、妻が専業主婦で無収入であった場合でも、夫婦が協力して収入を得ていたと考え、離婚にあたっては財産を平等に2分の1に分けます。
ただし、アスリートやタレント等、配偶者の一方の特別の努力や能力によって、高額の財産が形成された場合、特別の事情があるものとして、分与の割合が修正されることがあります。
この点、大阪高等裁判所平成12年3月8日判決においては、一級海技士の資格を持ち、1年に6ヵ月~11か月の海上勤務をしていた夫と、主として家庭で留守を守り、家事・育児をしていた妻の離婚において、妻への財産分与の割合を3割(財産分与額は2300万円)としています。
この判決では、夫が一級海技士の資格を取得したのは、夫の努力によるもので、この資格を活用した結果と海上での不自由な生活に耐えたうえでの高収入であると認定し、夫の寄与割合を7割としました。
上記の事例は、財産額が約7600万円と高額であり、しかも夫が年に6ヵ月~11か月も海上での勤務をしていたという特殊な事例です。
清算的財産分与の割合が2分の1以外の割合となるのは、一部の特殊な事例に限られており、ほとんどの事例は、2分の1であると言ってよいと思います。