田中史子の
つぶやきコラム
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2020.8.10
面会交流の方法について
親の離婚後、子どもを監護していない方の親(非監護親)が子どもと面会交流することは、子どもの成長にとって重要なことです。
民法766条1項においても、協議離婚の際に、面会交流についても協議で定めることとされ、「この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」とされています。
ただ、子どもがある程度年齢が高く自分の意見を明確に言える場合、子どもが面会交流を明確に拒否している時にどうするのがよいのか、というのは非常に難しい問題です。
この点、離婚時の和解条項において、非監護親である父と子ども達が少なくとも月1回の面会交流をすることを定めたにもかかわらず、その後、子ども達が父に不信感を抱く出来事があり、子ども達が面会交流を嫌がって、面会交流が実施されなくなった事案があります。
この事案においては、東京高裁は、直接の面会交流ではなく、電子メールやLINEを用いたメッセージの送受信による間接交流を認めました(東京高等裁判所令和元年8月23日決定)。
すなわち、上記決定においては、「一定程度の年齢・理解能力を有する未成年者らが面会交流を明確に拒否する意思を有している以上、監護親に対して、直接の面会の実施や、面会交流に前向きになるような説得を義務付けるのではなく、むしろ、抗告人(父)の側で、手紙、メール、LINE等の方法を用いて、自らの思いを未成年者らに率直に伝えることによって、未成年者らの抵抗感等を和らげ信頼関係を構築するように努め、未成年者らの了解を得た上で、直接の面会の実施につなげていくべきものと考えられる。」とされています。
決定当時、子ども達の年齢は、19歳、16歳、14歳でした。
面会交流が、子どもの利益のために必要なものである以上、子どもが、非監護親との面会交流を真に嫌がっている場合は、まずメール、LINE等での間接的な交流から信頼関係を築いていくのも必要な場合があるでしょう。
なお、上記事案においては、子ども達自身も面会交流の審判に「利害関係参加人」として参加して、子ども達の手続代理人も選任されており、子ども達自身の意思が裁判所に伝わりやすい状況であったと思います。