田中史子の
つぶやきコラム
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2019.3.29
財産分与の手続上の問題
財産分与請求権は、離婚のときから2年以内に行使しなければなりません(民法768条2項但書)。
反対に言えば、先に離婚して、後から財産分与を請求することも、離婚から2年以内であれば可能ということです。
ただ、実際には、離婚請求と同時に財産分与を請求することがほとんどです。
財産分与請求をする際、夫(もしくは妻)がどのくらいの財産を保有しているのか、どのような形で保有しているのか等がわからず、財産分与の対象を特定できないこともあります。
そのような場合でも、財産分与の請求は可能です。
調停・審判や、裁判の中で、双方が財産に関する資料を提出し、その上で、裁判所が一切の事情を考慮して財産分与額や内容、方法を決定することになります。
裁判所は、当事者が申し立てた金額以上の金額を財産分与するよう決めることもできます。
その意味では、裁判の第1審で財産分与を命じられた相手方が、財産分与の額が多すぎるとして不服で控訴しても、控訴審で第1審よりもさらに多額の財産分与が命じられることも場合によってはあることになります。
この点、最高裁判所は、平成2年7月20日の第2小法廷判決において「離婚の訴えにおいてする財産分与の申立については、裁判所は申立人の主張に拘束されることなく自らその正当と認めるところに従って分与の有無、その額及び方法を定めるべきもの」とし、裁判所が申立人の主張を超えて有利に分与の額等を認定してもよいとしています。
通常の民事訴訟においては、裁判所は、当事者の訴え以上の認定はできませんが、財産分与の考え方は通常の民事訴訟の請求とは異なっていますので、注意が必要です。