田中史子のつぶやきコラム

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2018.3.14

夫もしくは妻が3年以上生死不明の場合

民法770条1項3号は、夫(もしくは妻)が「3年以上生死不明」の場合を離婚原因として挙げています。

その理由について、名古屋地方裁判所平成29年5月29日判決は、「婚姻関係は一面倫理的、精神的な関係であると同時に、他面生物学的関係でありまた経済的関係であることはいうまでもない。そして、婚姻関係の生物学的、経済的関係であるところから、悪意の遺棄と並んで一定期間の一方配偶者の生死不明を裁判上の離婚原因とすることは、他方の配偶者の社会生活の安全確実を図る上において条理上当然要求せられるところといわねばならない。」としています。

難しい文章ですが、要するに、夫(もしくは妻)が、3年間も生死不明で、家庭生活を営めず、経済的な協力もないということでは、妻(もしくは夫)は社会生活上の安定確実を図ることができない、ということですね。

この「3年間」というのが長いか、短いかということについて、上記の判決は、交通通信機関の発達状況等を考えると、3年と言う期間が短すぎるとは到底考えられないとしています。上記の判決は、昭和29年であり、電話、メール等でどこからでも、簡単に連絡が出来る現代においては、もっと期間を短縮してもよいかもしれません。

ただ、「3年以上生死不明」ということとは別に、「悪意の遺棄」も離婚原因となります。夫(もしくは妻)が突然、家を出て行って、そのまま行方がわからず、1年以上何の連絡もない、という場合には、「悪意の遺棄」を理由として離婚が認められる可能性があります。

夫(もしくは妻)の行方が分からないときの離婚方法としては、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することになります。通常は、まず離婚調停を申し立てて、それでも話し合いがつかず、調停が不成立となってから、離婚訴訟を提起するという手順を踏まなければなりません。しかし、夫(もしくは妻)の行方が分からないときには、調停を申し立てても意味がありません。調停は話し合いの場なので、夫(もしくは妻)が出席しなければ、何も進めることができないからです。

行方不明の相手に訴訟を提起する場合は、「公示送達」の申し立てをすることになります。相当な調査を行っても、相手の行方がわからないということを示す資料をつけて申立て、それが裁判所に認められれば、相手方の住所がわからなくても裁判所進めることができる手続きです。