田中史子のつぶやきコラム

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つぶやきコラム

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2018.2.26

夫婦の同居義務

民法においては、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」(民法752条)と定められています。これによれば、夫婦は原則として同居生活をしなければならず、正当な理由がなければ別居できないことになります。ただ、夫婦双方が別居することに合意している場合や、単身赴任等の場合には、別居に正当な理由があることになります。

では、夫(もしくは妻)が、正当な理由がないのに一方的に別居した場合には、妻(もしくは夫)は相手方に同居を求めるために、どうしたらよいでしょうか。

この点、正当な理由がないのに別居された場合、家庭裁判所に同居を求める調停及び審判を申し立てることができます。調停委員や審判官という第三者を交えて協議する中で、夫婦が互いに自分の問題点を認識し、行動や考え方を変えることで、夫婦としてやり直すことが出来る場合もあります。

しかし、同居の審判がなされたとしても、その審判が強制力を持つものではありません。また、別居した夫(もしくは妻)に夫婦としてやり直す気持ちがなければ、裁判所が同居の審判をし、それに夫(もしくは妻)が嫌々従っても、夫婦関係の円満を取り戻すことはできません。

この点、夫婦関係が破綻しているにもかかわらず、夫が妻に対し同居を求めた審判(神戸家庭裁判所昭和40年12月14日審判)においては、次のように述べられています。

「夫婦の一方が他方よりの同居の請求を拒否するについては正当の事由のあることを必要とするのであるが、元ら甥夫婦が互いに同居義務を負うのはこれによって夫婦相互の愛情と信頼に基づき円満な家庭生活の維持を図るためである。してみると夫婦間の愛情の冷却及び信頼の喪失により差当り到底円満な共同生活の回復を期待し得ないような場合には、強いて同居することは無意味であるばかりでなく、かえって夫婦間の破綻をますます深刻ならしめるだけであるといわなければならない。」

これについては、私もその通りだと思います。円満な夫婦生活、家庭生活を送るためには、夫婦双方の努力が必要です。夫婦のどちらかが相手方に対する愛情や信頼を完全に失い、相手方との同居の意思が全くない場合に、審判で同居を命じることに意味があるとは思えません。

ただ、相手方が別居や離婚に同意しておらず、明確な離婚理由もない場合には、直ちに離婚が認められるということにはならないので、離婚するためには、ある程度の別居期間をおくことが必要です。この期間については、夫婦としての同居期間や、個々の事情にもよるので、一律に何年別居すれば離婚が認められるということは言えません。ただ、平成8年2月26日に法制審議会総会で決定された「民法の一部を改正する法律案要綱」においては、離婚原因の一つとして「夫婦が5年間継続して婚姻の本旨に反する別居をしているとき」が提案されていますので、5年という期間は一つの目安にはなると思います。