田中史子のつぶやきコラム

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2018.2.17

離婚原因ー不貞行為

協議離婚や調停離婚であれば、夫婦双方に離婚の意思があれば離婚することができます。しかし、夫婦の一方が離婚を拒んでおり、裁判になった場合、裁判で離婚が認められるためには、民法770条1項に定められた離婚原因があることが必要です。

不貞行為は、770条1項の1号において離婚原因として挙げられています。では、法律上、離婚が成立しない間、夫(もしくは妻)が、妻(もしくは夫)以外の人と性的関係を持つと、すべて離婚原因となる「不貞行為」にあたるのでしょうか。

この点、形式的には離婚しておらず、婚姻関係が継続していても、夫婦がすでに別居し、実質的にも夫婦関係が破綻していることが明らかな状態で、妻(もしくは夫)以外の人と性的関係をもっても、夫婦関係がそれによって破綻したとは言えないので、離婚原因としての「不貞行為」には該当しないと考えられています。

裁判例(山形地方裁判所昭和45年11月10日判決)においては、夫が妻の両親の蔑視、冷遇とこれに従う妻の態度に疎外感等を強くし、婚姻継続の意思を喪失して別居し、その4年後に妻以外の女性と内縁関係になったという事例において、妻以外の女性との関係を持つ以前に夫婦関係が破綻し、夫婦関係の修復が不可能な状況となっていたと認定し、妻以外の女性との関係が夫婦関係の破綻に影響を及ぼしたものではないとしています。

では、夫(もしくは妻)の不貞行為があったが、それを妻(もしくは夫)が許し、いったん通常の夫婦生活に戻った後に夫婦関係が破綻し、夫(もしくは妻)が離婚を求めた場合、妻(もしくは夫)は、夫(もしくは妻)の過去の不貞行為を理由として、「有責性」を主張することができるのでしょうか。

夫婦関係が破綻する原因を作った側は「有責配偶者」とされ、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められないことから、問題となります。

この点、東京高等裁判所平成4年12月24日判決においては、不貞行為を許したときは、その不貞行為を理由に有責性を主張することは信義則上許されず、裁判所も有責配偶者からの離婚請求とすることはできないものとしています。

この事例は、妻が他の男性と関係をもったものの、夫がそれを許し、その後4、5か月間は通常の夫婦関係をもち、平穏な状態が続いていたものです。ところが、夫は、確たる証拠もないのに、妻の不貞行為が続いているのではないかとの疑いを捨てきれず、いつまでもそのことにこだわり、「夫として一生束縛してやる。死ぬまで自由にはさせない。」等と妻を責め、また夫が妻の反対を押し切ってはじめた商売がうまくいかず、帰宅しないことが多くなった等の理由で、妻が離婚を求めたものです。

妻の側に不貞行為があったとしても、その後夫が許した後に上記のような対応をされれば、夫婦としてはやっていけないと思うのは無理もない事例かと思います。