田中史子のつぶやきコラム

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2018.2.13

離婚届の届出の意思について

協議離婚の場合、夫婦が離婚の合意をし、離婚届に双方が署名・押印して届け出れば、離婚が成立します。

ただ、夫婦喧嘩をしてカッとなり、いったん離婚届に署名・押印して夫(もしくは妻)に渡したが、後で冷静になってみると、離婚はしたくない、という場合もあるかと思います。このような場合には、どうしたらよいのでしょうか。

この点、合意により協議離婚届書を作成して、相手方に届出を依頼した後、協議離婚の意思をひるがえし、市役所の職員に対し、離婚を承諾したものではないから受理しないでほしい旨を申し出た事案において、最高裁の判決があります(昭和34年8月7日最高裁判決)。

この判決は、市役所の職員に受理しないでほしいと言ったことで、協議離婚の意思をひるがえしていたことが認められ、届出の当時離婚の意思がないことが明確になった以上、協議離婚は無効であるとしています。

現在では、本籍地の戸籍係に離婚届の不受理の申出をすることができるので、離婚届を作成後、離婚の意思がなくなった場合には、離婚届の不受理届を出しておく必要があります。夫(もしくは妻)に離婚の意思がなくなったことを伝え、離婚届を提出しないようにしてもらうことも大切ですが、それでも妻(もしくは夫)が強引に提出してしまうことも考えられるからです。

いずれにしても、離婚届に署名・押印するのは、夫婦が十分に協議した上で、慎重にする必要があります。

では、離婚の合意もないのに、夫(もしくは妻)が勝手に妻(もしくは夫)の署名・押印をして離婚届を提出してしまった場合には、どうなるのでしょうか。このような場合には、離婚の合意がないので、離婚は無効です。しかし、いったん離婚の届出が受理され、戸籍に記載されてしまうと、戸籍係には離婚の有効、無効を調査する権限はないので、離婚無効の調停を申し立てなければなりません。

夫(もしくは妻)が、勝手に離婚届を作成し、提出してしまうおそれのあるような場合には、事前に戸籍係に不受理届を出しておくとよいと思います。

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