田中史子のつぶやきコラム

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つぶやきコラム

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2018.1.10

子どもを連れての別居

夫婦が別居する際、自宅を出て行く妻(もしくは夫)が、相手方の同意なく子どもを連れていくことがあります。このような場合、「子どもの連れ去り」にはならないのでしょうか。

これは大変難しい問題だと思います。夫婦双方が子どもの親権を強く主張している場合、子どもを連れて家を出ることについて、相手方が同意するということは望めません。しかし、相手方とそのまま同居を継続していたのでは、かえって子どもにとって悪影響を与えると思われることもあり、相手方の同意なく子どもを連れて別居することが、やむをえない場合もあります。

この点、別居中の妻が、無断で子どもを連れ去った夫に対して、子の監護者の指定及び引き渡しを申し立てた事案において、夫の方から、そもそも妻が子どもを連れて別居したことが「平穏な家庭生活を破壊」したもので、許されないとの主張が出されたものがあります(大阪高等裁判所平成17年6月22日決定)。

夫は、自分が子どもを妻の下から連れ去ったことが許されないのであれば、妻が子どもを連れて別居したことも許されないのではないか、という主張をしているのです。

この点、前記大阪高裁の決定では、妻は、子どもの出生から夫との別居までの間、子どもの監護を主として担っていたものであるから、そのような妻が夫と別居するに際して、今後も監護を継続する意思で、子どもとともに家を出るのは、むしろ当然のことであって、それ自体、何ら非難されるべきことではない、としています。

そして、別居後、妻が監護している子どもを実力で連れ去った夫の行為は、妻が別居の際に子どもを連れて出たこととは全く異質のものだとしています。

上記事案では、裁判所は、それまでの子どもの主たる監護者が子どもを連れて家を出ることは、何ら非難されるべきことではないとしていますが、事案によっては、子どもを連れて家を出ることが違法な監護の開始とされることもありますので、子どもにとって何が一番よいのか、慎重に考えることが必要です。

なお、別居中の夫(もしくは妻)から、子どもを連れ去られた場合、相手方の下での子どもの監護が継続すると、その状態が既成事実となってしまい、子どもの親権・監護権が相手方に認められる可能性が高くなりますので、直ちに子の監護者の指定と、子の引き渡しの調停・審判を申し立てることが必要です。