田中史子のつぶやきコラム

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2017.12.27

内縁関係と財産分与

内縁関係とは、婚姻届を出していないが、当事者間に婚姻の意思があり、夫婦共同生活の実態がある場合を言います。この内縁関係の成立が認められた場合には、夫婦間の同居・協力・扶助義務等、婚姻についての民法の規定が類推適用されると考えられています。

そのため、内縁関係を解消し、別れる時には、内縁の夫(もしくは妻)に対し、財産分与を求めることができます。

では、内縁の夫(もしくは妻)が亡くなった場合、その財産はどうなるのでしょうか。内縁の妻(もしくは夫)には相続権はないので、財産分与請求ができるかどうかが問題となります。

最高裁判所平成12年3月10日決定においては、内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合には、財産分与の請求はできないと判断しました。この決定では、死亡による内縁解消のときには、相続により財産を承継するのが法の定めだというようなことを言っています。

しかし、内縁の夫婦が別れる場合には相手方に財産分与が請求できるのに、相手方が亡くなった場合には、財産に対し何の請求権もなくなるというのは、不合理な気もします。

この点、内縁関係の夫婦が共同して呉服商等を経営し、その収益から不動産を購入した場合において、内縁の夫の死後、夫の相続人との間で、その不動産について裁判になった事例があります。その裁判では、たとえその不動産の登記簿上の所有名義が夫であっても、夫婦の共有財産(妻の共有持分2分の1)と認めました(大阪高等裁判所昭和57年11月30日判決)。

また、内縁の夫婦が共有し、居住及び共同事業のために使用してきた不動産について、特段の事情のない限り、その一方が死亡した後は、他方がその不動産を単独で使用する旨の合意ができていたと推認した最高裁判決もあります(平成10年2月26日)。

このように、内縁関係の相手方が死亡した場合、財産分与の規定は適用されないものの、個々の判例においては、事案に応じて、妥当な結果を導くように考えられていると言えます。ただ、内縁の夫婦が共同で事業をしていたような場合でなければ、前述の裁判の構成は難しいかもしれません。

やはり、内縁関係の場合に、夫(もしくは妻)が死亡した場合には相続権はなく、財産分与もないということを前提に、遺言書を作成する等の対応をしておいた方がよいようですね。