田中史子のつぶやきコラム

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2017.12.25

会社の財産は財産分与の対象か?

夫(もしくは妻)が、会社を経営している場合、会社名義の財産は財産分与の対象にならないのでしょうか?

この点、夫(もしくは妻)個人と会社とは、別と考えられますので、会社名義の財産は、離婚時の財産分与の対象とはならないのが原則です(但し、夫もしくは妻が保有する会社の株は、個人の財産であり、会社名義の財産ではありません)。

名古屋家庭裁判所平成10年6月26日審判は、内縁の夫の経営する会社の財産につき、「本件内縁期間中に申立人と相手方が形成した財産の清算という観点からみる限りでは、本件内縁の開始時にすでにこのような独立した経済主体となっていたと言える同社の資産を、実質的相手方の資産と同視できるとはいえない」として、会社の資産は財産分与の対象とはならないとしています。会社が、実質的に個人とは独立した経済主体であることに着目していると言えます。

一方で、会社の財産が、実質的に夫の財産と同視できる場合は、財産分与の対象となるとした判例もあります。

大阪地方裁判所昭和48年1月30日判決においては、夫婦の婚姻後、夫がその個人営業により得た資金を投下して発足させたもので、会社は個人営業の延長であり、夫個人が実質上の管理処分権を有しているとして、財産分与請求においては、夫個人の営業と同視するのが相当であるとしました。

さらに、夫婦を中心とする同族会社名義の財産も、財産分与の対象として考慮した判決もあります(広島高等裁判所岡山支部平成16年6月18日判決)。ただ、この判決では、会社財産を財産分与の対象とした上で、そこから、会社に課された多額の重加算税も差し引くこととしています。会社の資産を財産分与の対象にするのであれば、会社の負債についても対象にすべきということです。

もっとも、個人事業と同一視できるような会社であったり、同族会社であれば、その会社の株式も、夫妻ですべて保有していることが多いと思われます。とすれば、会社の株式を時価評価し、財産分与すればよいとも思えます。しかし、非公開会社の場合、その株式の時価を、いったいどのように評価するのか、という難しい問題が出てきてしまいます。そのため、会社の株ではなく、会社財産そのものを財産分与すべきとの主張をすることが必要な場合もあるということでしょう。

いずれにしても、会社経営者が離婚する場合、自社の株式が財産分与の対象となることがあり、個別の事情によっては、会社名義の財産についても財産分与の対象となる場合があるということを、十分認識しておく必要があります。