田中史子のつぶやきコラム

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2017.12.24

自宅不動産の財産分与の方法

夫(もしくは妻)名義の自宅不動産に妻(もしくは夫)がそのまま住み続けたい場合、どのような方法があるでしょうか。

例えば、夫婦の財産として、評価額が1000万円の自宅(住宅ローンなし)と、夫名義の預金600万円、妻名義の預金400万円がある場合、財産分与の対象は、合計2000万円となります。よって、離婚にあたり、原則的には1000万円ずつを夫婦で分けることになります。妻が自宅を取得する場合、夫名義の預金は600万円しかありませんから、1000万円との差額の400万円を、夫に清算金として支払うことになります。

自宅不動産が夫(もしくは妻)名義の場合で妻(もしくは夫)が不動産を取得する場合、あるいは、夫婦の共有名義になっている場合には、自宅不動産の名義変更も必要になります。

この点、東京高等裁判所平成10年2月26日判決では、不動産の所有権(ないし持分)移転登記と清算金の支払いは、引き換えに行うべきであると判断しています。すなわち、前述の例でいうと、妻が夫に清算金の400万円を支払うのと引き換えに、夫は妻に不動産の所有権(ないし持分)移転登記を行うということになります。

では、妻(もしくは夫)が、相手方に清算金を支払えない場合、自宅不動産を売却するしかないのでしょうか。

例えば、自宅不動産の価格が2000万円で、夫婦の預金は1000万円の場合、夫婦の財産の合計は3000万円で、それぞれの取得額は1500万円となります。そのため、夫(もしくは妻)が、自宅不動産を取得する場合、相手方には差額の500万円を用意して渡さなければなりません。500万円を用意するのは難しいが、夫(もしくは妻)がどうしても自宅に住み続けたい場合自宅不動産の持ち分の分与にとどめておくという方法もあります。ただ、離婚しても自宅不動産が共有のままというのは、すっきりしませんし、将来、相手から共有物の分割を請求されれば、結局、自宅不動産を売却しなければならなくなってしまいます。

この点、妻子が、離婚とともに自宅を出て行かないといけなくなると、生活が困窮するおそれがある場合に、一番下の子どもが小学校を卒業するまでの間、自宅不動産の使用借権(家賃なしで住めるという権利)を認めた決定もあります(名古屋高裁平成18年5月31日決定)。この場合、財産の清算、という観点での財産分与(精算的財産分与)ではなく、離婚後の扶養と言う観点からのもの(扶養的財産分与)です。

なお、上記の決定は、家賃なしでの一定期間の居住を認めたものですが、家賃を支払って住むことを認めた判例もあります(名古屋高裁平成21年5月28日判決)。

離婚にあたって、子どもにとって何が一番良いかを考え、夫婦でそのための方法を協議していくということは重要です。上記のような方法は、離婚後も、夫と妻の間に使用貸借や賃貸借関係が残りますが、場合によっては大変有効な解決方法になると思います。